高齢者に多い?現状維持という考え方〜老年心理学まとめ〜
こんにちは。
May's + 海野です。
2回に渡って老年心理学についてお伝えしてきましたが、今回をまとめの記事としていきます。
過去2回の記事では、高齢者に顕著に表れやすい行動についてと、その中からフレーミング効果についてをピックアップしてお伝えしました。
まだご覧になっていない方はこちらからどうぞ。
記事の中でも触れていますが、これらのことは高齢者だけに限られたことではありません。
ですが、顕著に表れる行動という意味ではうなづける部分があるのは確かです。
それは、人生経験が長い=経験値が豊富であるということが根底にあると考えられます。
「今まで何の問題もなかったんだから、これからも今まで通りでいい」とおっしゃる方は以外に多いのではないでしょうか。
このような考え方を心理学では『現状維持バイアス』と呼ぶことがあります。
今回は現状維持バイアスにも触れながら、老年心理学についてまとめていきますね。
現状維持バイアス、その具体例
まずは、『現状維持バイアス』について説明します。
人は、変化することで今持っていないものを得る喜びよりも、今持っているものを失うことへの不安や恐れの方が数倍大きいと言われています。
そのため、無意識のうちに損をしないように現状維持を選択してしまう、あるいは意思決定を先延ばしにしてしまう傾向があります。これが現状維持バイアスです。
あなたはこんな経験はありませんか?
自分が経験したことがない、未知なことを人から勧められたとしましょう。
経験がないことですから、知識を学んだり、手続きを調べたり、相手の説明を理解するために説明書などを何度も読み返す必要があったり…。
そのうちに面倒くさくなってしまったとか、今のままでいい、という気持ちになってしまって結局現状維持という選択をした。
私自身も両親がまだ自宅で老老介護をしていた頃に、いくつか生活改善のための提案をしたことがありましたが、頑なに今のままで問題ないという返事をもらっていたことを思い出しました。
もう少しイメージしやすい例をあげてみます。
Aさんは、ある日今まで何十年もかけていた医療保険の見直しを提案されました。
今の保険では現在の医療にあっていないので、これまでの保険を解約して新たに現在の医療状況に見合った保険に変えませんか?という提案です。
Aさんは以前、入院をした時に給付金を受けていたこともあり、説明を聞いてはみたものの様々な手続きの煩わしさや新しい保険への理解があまりできないことも影響し、結局現状維持という答えを出しました。
「前はしっかり給付金も受け取ることができたし」という過去の経験も要因の一つになったことでしょう。
Aさんが選択した答え、あなたはどう感じますか?
確かに「今」は何もしなくていいのですから楽ですよね。新たに保険に加入するということは今までの保険料より確実に保険料も上がることになります。
Aさんにしてみれば「損をしてまでも…」という感覚を覚えたのかもしれません。
ですが、現在の医療状況にあっていない保険をかけ続け、いざという時に給付が受けられないという状況になってしまったとしたら、その後も支払い続けていた保険料こそがAさんにとっての損失ということになってしまいます。
現状維持バイアス、イメージできたでしょうか?
様々な思考の偏りを回避するには?
3回にわたって老年心理学、フレーミング効果や現状維持バイアスについてお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか?
最後に、どのようにして様々な思考の偏りを回避すれば良いのかをお伝えしますので参考にしてください。
それは…ご自身で自覚すること、第三者の意見を聞くことがとても有効です。
そして、今行動した場合と現状維持を選んだ場合に将来起こり得る最悪のシーンをそれぞれイメージしてみるということも思考の偏りを回避できる方法の一つです。
今自分はバイアス(思考の偏り)に陥っていないか?
この選択で本当に良いのか?
今行動に移したらどうなる?行動しなかったらどうなる?
結論を出す前に、一度冷静に自問自答する時間を作ってはいかがでしょうか?
終活を始めようと考えている方、老後の生活資金に不安を抱えている方。
なかなか行動に移せない方も多いです。
実際に行動を起こそうとすると、考えなくてはいけないこと、探さなくてはいけないこと、調べなくてはいけないこと…たくさんあります。
面倒だな、今やらなくても良いか。
別に今のままでも、現状問題なく過ごせているし…。
それ………。
バイアスかかっていませんか?