2020年の年金制度改正のポイント

こんにちは。
May's + 海野です。

 

2020年がスタートして、早くも半月が経ちました。

昨年、老後資金2000万円不足問題が起きてから、年金の受給額に不安を抱く人は多いですね。

その公的年金の制度改正、2019年終盤には改正案はほぼ固まったと言われています。
そして、今年2020年の通常国会で審議の運びとなります。

以前、iDeCo改革について書きましたが、今回は公的年金の制度改正についてのポイントをお伝えしたいと思います。

 

まだ、正式に閣議決定した訳ではありませんが、将来の資金計画の参考としていただけたら幸いです。

 

改正案、3つのポイント

 

公的年金は5年に1度『財政検証』が行われていますが、直近では昨年2019年にその検証が行われました。

それを踏まえて制度改正案が作成されています。

今回の制度改正で押さえておきたいポイントは以下の3つです。

✅厚生年金加入者の適用拡大
✅受給開始時期の選択肢拡大
✅在職老齢年金額の緩和

少し補足していきますね。

まず加入者の適用拡大についてですが、段階的な改革案となっています。
こちらは、現在ご主人が会社員で奥様がパート勤務をされているという方にとっては影響が大きいポイントとなります。

適用要件が緩和されても、奥様が厚生年金保険料(健康保険料)を負担しなくてはならない、ということで敬遠される方も多いと思われます。

ですが、今の負担は確かに増加しますがメリットもあることは確かです。
例えば、保険料は勤務先との折半であることや、傷病手当金など国民健康保険にはない保障を受けることもできます。

そして、何より将来受け取る年金額という視点で見れば国民年金だけよりも厚生年金がプラスされることで老後の生活資金を増やすこともできます。

奥様がご主人の扶養を外れ、ご自身で社会保険に加入するということは、ご主人の税金等にも影響はおよびますので、メリット・デメリットを考えて働き方等の検討をされること、そしてここでも長いスパンでトータル的に考えていくことが重要だと思います。

 

次に受給開始時期の選択についてですが、こちらは現在の繰り下げの上限が70歳から75歳に引き上げられます。上限の75歳で受給開始とした場合、通常の65歳で受給開始した時と比べて84%の増加となります。
仮に65歳時点の年金額が月額10万円であれば、75歳受給開始で18.4万円になるということです。

個人年金にも加入されている方は、どの年金をどのタイミングで受給するのか、ご自身の働き方とのバランスも視野に入れて考えていかれるのが良いですね。

 

在職老齢年金については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

 

人生100年時代、超高齢社会を背景とした制度改正

 

今回は、公的年金の制度改正についてポイントをお伝えしました。

この制度改正の背景には、やはり人生100年時代と呼ばれるようになった近年の超高齢社会という点が存在します。

2025年には団塊の世代と言われる方々が75歳を迎えることになりますので、その時までに年金や医療・介護保険などシニア層に関係する様々な制度改正が行われることが予想されています。

1月下旬には2020年4月からの年金額が公表されますが、今年もマクロ経済スライドによって年金額は抑制傾向となると見込まれています。

※マクロ経済スライド
賃金・物価による改定率を調整して、緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みのこと

 

これからの多方面からの改正は、個人個人の自助努力がしやすくなる環境を整えるという考え方で実施されるとも言われています。

そのような中で、あなたご自身が社会制度を考えた時に
「年金が…」
「健康保険が…」
「介護保険が…」
「働き方が…」

というように、一つのことだけをピンポイントで考えるのではなく、全体を俯瞰的に見るようにすることが大切だと常々思っています。

そのためには、あなたご自身がこれからの過ごし方をどうしたいのか?
思い描く過ごし方を実現するためのリスクは何なのか?

このブログでも、何度もお伝えしていることです。

今後も社会制度は大きく変動し続けていくことでしょう。
「こんなはずじゃなかった…」なんてことにならないように、ご自身のこれからのこと、きちんと考えてみませんか?