居住用住宅を売却したら譲渡所得の申告もお忘れなく!

こんにちは。
May's + 海野です。

 

新しい年の幕開けから早くも1週間ですね。
今週からお仕事が始動したという方も多いのではないでしょうか。

本当に「時の流れ」というのはあっという間ですよね。
実は、このお正月は普段よりテレビに接する機会が多かったのですが…。(笑)
三が日が過ぎた頃、早くも恵方巻きのCMが流れていました。

思えば、11月終盤からクリスマスムード。
それが過ぎると、すかさずお正月ムード。
そして、その後は恵方巻きからのバレンタイン。

目まぐるしいです…ホントに!


そんな足早に過ぎていく年初ですが、忘れてはならないのが確定申告。
今年の所得税の申告期間は2月17日(月)〜3月16日(月)までです。

以前の記事で医療費控除についてお伝えしましたが、今回は居住していた家を売却した場合も所得税の申告が必要、というお話をしたいと思います。


医療費控除ほどポピュラーではありませんが、だからこそ知らない・わからない方も多いと思います。2019年中に売却された方はもちろんですが、将来的に家の売却が予測される方も参考としていただければと思います。

 

居住用財産の売却と譲渡所得

 

住んでいた家を売却…。
理由は色々あるかと思いますが、今回のお話はご両親が住んでいた家を相続したものの今後住む予定がない場合、ご両親共に施設等に入所された場合など、今まで住んでいた家が空き家状態となり売却したという状況でお伝えしていきますね。

まずは、譲渡所得について説明します。

 

譲渡所得の計算方法

居住用財産の場合、買った時の値段より売った値段の方が高かった場合に、その差額に対して20%(所得税15%・住民税5%)の税率で課税されます。

ここで問題となるのが、買った時の値段がわからない場合です。
ご両親が住んでいた家の場合、購入はかなり昔であることが多いと思われます。

きちんとその当時の売買契約書が残されていれば取得価格がわかりますが、長い年月の間に紛失してしまっていることもよくあることかもしれません。

その場合は買った値段がわからないので、取得価格は売った値段の5%として計算されます。


具体的な計算式は以下のようになります。

取得価格がわかっている場合

譲渡額ー(取得価格+譲渡時諸費用)=譲渡所得
例)1,000万円で買い、4,000万円で売った(諸費用は50万円)
4,000万円ー(1,000万円+50万円)=2,950万円

取得価格が不明な場合

譲渡額ー(譲渡額×5%)ー譲渡時諸費用=譲渡所得
例)購入金額は不明、4,000万円で売った(諸費用は50万円)
4,000万円ー(4,000万円×5%)ー50万円=3,750万円

 

居住用財産の特例

上記の例だと、それぞれ赤字の部分が譲渡所得となりますが、居住用財産を売却した場合には譲渡所得から3,000万円控除の特例が設けられています。

要するに、算出された譲渡所得が3,000万円以下であれば税金は課税されない、ということになりますが、特例を受けるためには適用条件がありますのでご注意ください。

適用条件は以下の通りです。

(1) 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

【注】住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件全てに当てはまることが必要です。

イ)その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

ロ)家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

(2) 売った年の前年及び前々年にこの特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除きます。)又はマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。

(3) 売った年、その前年及び前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。

(4) 売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

(5) 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

(6) 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。
特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

国税庁ホームページ「マイホームを売った時の特例」より

 

譲渡所得の申告についてのまとめ

 

今回はざっくりとですが、居住用財産の譲渡所得についてお伝えしました。

実は、私自身も空き家状態の実家を売却しましたので、この申告を行いました。
我が家の場合は、実家取得から40年近く経っていましたが奇跡的に(?)当時の売買契約書が見つかりましたので正確な取得価格で計算できました。

先ほどの例でお分かりの通り、取得価格がわかっている場合と不明な場合では譲渡所得に大きな差が出てきます。それによって3,000万円の控除を受けても最終的に課税となることも考えられます。

申告の際は「譲渡所得の内訳書」を作成し、確定申告書に添付します。
内訳書には譲渡した不動産の所在地・種類・面積、居住年月、購入先・譲渡先、それぞれの金額などを記入します。

同時に、先ほどの特例に適用するかのチェックリストも記入します。
記載した適用条件は少し難しい表現となっていますが、チェックリストではもう少しわかりやすい一問一答式となっていて、それぞれに「はい・いいえ」で簡単に答えられるようになっています。

 

近年は、核家族化も進み親世代と子世代が別々に暮らしているご家庭も多いですよね。
子世代は自分たちの住宅を取得している場合も多く、将来的にはご両親が住んでいる家が空き家状態となってしまうことも増えてくることが予想されます。

冒頭で触れたように相続発生だけではなく、施設入所により空き家状態となってしまうこともありますね。我が家がまさにそうでした。


あなたご自身の、あるいはご両親の住宅状況はいかがでしょうか?
今すぐに発生することではないかもしれませんが、不動産を売却された場合には譲渡所得が発生すること、金額によっては課税される可能性があること、条件によっては控除等の税額軽減が受けられること、それには確定申告を行う必要があることなどは覚えておいて損はないですよね。

現在お住いの住宅、購入時の契約書や権利証の保管場所、きちんと把握できていますか?

 

【参考】
国税庁ホームページ(譲渡所得)